グランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス・ファイヴ『フリーダム~12インチ・コレクション』
何は無くとも、ヒップホップ その①。
ヒップホップが聴きたかった。まっさらな状態から、どこから聴いたらいいか、考えた時…。まず、元祖を聴くべきだと思った。
ということで、グランドマスター・フラッシュ。あの「スクラッチ」を世に広めた、ヒップホップ黎明期の超大物である。確か、「ロックの殿堂」にも選ばれていたような…。
このCD、彼とその仲間たちによる、12インチ・シングルを集めた編集盤であるが、ヒップホップ黎明期の、新しい音楽が生まれる時の、興奮と喜びのようなものが、そのままパッケージされているように感じる。
私の「ヒップホップ」に対する先入観とは、少し違っていた。「ヒップホップ」と言うと、刑務所に頻繁に出入りするようなワルが、低いテンションで次々と言葉を発していくというような…。あまり良いイメージは持っていなかったのです。
しかし、その元祖たる彼らの音楽に溢れているのは…、イメージとしては「お祭り騒ぎ」である。「祝祭的」とも言えるだろうか。真っ先にイメージしたのは、ロックの祭典「ウッドストック」でのパフォーマンスが人々に強烈な印象を残したところの、スライ&ザ・ファミリーストーンである。…そう、この音楽は、極めてロック的なのである。
以前、ヒップホップとジャズの親和性についてちょっと述べたが、ヒップホップは元々は、ロックの派生物として登場してきたものなのかもしれないな…。まだあんまりそこら辺の流れは掴めてはいないが…。ただ、ヒップホップ特有の、あの平坦なメロディーで繰り出される「ラップ」という表現方法は、その平坦さゆえに、どんな音楽とも合わせられる柔軟性を持っているのかもしれないな…、と思ってみたりする。
ここでちょっと閑話を。
黒人と白人の音楽って、絶対に何かが決定的に違うと思うのです。私自身、ある時期まで、黒人のやってる音楽を、なるべく聴かないようにしていた、ということがあった。私の中のイメージとしては、白人音楽は精神性が高く、黒人音楽は肉体性が高い、というようなものだ。どっちが良いとか、悪いとかいう問題でもない。私はただ、当時は精神性みたいなものを強く求めていたのだと思う。ちなみに、私が、白人の精神性の高さのようなものを最も見せつけてくれると思うミュージシャンは、ジェフ・バックリィである。特に、ここでは言及しません。
以上、閑話休題。
今の時点では、ヒップホップを体系的に聴けている訳ではないので、まあ徐々にではありますが、その裾野を広げていこうと思っています。ただ、どんな音楽でも、時代を創り上げた、革命的な音楽というものは、聴いていてそのパッションの大きさに圧倒されるものであります。このCDにも、そんなパッションが大いに溢れていると思うのです。是非、一度手に取って、そのパッションの大きさに身を委ねて欲しいと感じるところであります。