アンクル・チャッキーの名盤紹介

私が名盤だと感じるCDアルバムを、次々と紹介していくブログです。読者様の心のどこかに引っ掛かって貰えれば、嬉しいです。

小沼ようすけ『Jazz’n’Pop』

ニッポンのジャズ・ギタリストです。小沼ようすけ

 

私は、この人の奏でる音だったり、醸し出す雰囲気が好きです。

 

一度、この人の演奏を、生で見たことがあるんです。ピアニストの塩谷哲さんとデュエットするコンサートだったのですが、塩谷さんが観客の笑いを誘いながら軽妙にトークをされるのに対し、小沼氏は朴訥と、自分の世界に入り込んでいるかのように話されるので、その姿を見て観客がクスクスと笑う、というような感じでした。

 

ちゃんと自分の世界を持っているのですね。

 

このアルバムは、タイトルの通り、どの曲もポップであり、実際に、マイケル・ジャクソンU2のカヴァーをした楽曲も、演奏されています。

 

ジャズ・ギターというと、ともすると聴き手を選ぶ、敷居の高い音楽になってしまいがちな面があるということは、否定できません。ジャズにおけるギターの音は、言ってしまえばあまり華やかではないものが多いですし(私はそう思っています)、比較的地味な音楽になってしまいがちな楽器だと言えると思います。

 

しかし、小沼氏、持ち前のセンスの良さなのか、彼の紡ぎだす音楽は、ポップで、華やかで、わかりやすい音楽と言い切れます。音楽を聴く喜びというものを、十分に感じさせてくれる、聴き手を選ばない音楽だと思うのです。

 

と、同時に、彼の音楽は、とても日本的だな、と感じるのです。ギター演奏ですから、勿論ヴォーカルは入っていないのですが、他の国のジャズ・ミュージシャンと比較して、日本的な感じを受けてしまうのは、何故なんでしょう。小沼氏の奏でる音楽は、あたかも日本語をしゃべるかのように、日本人にとって聴きやすい音楽である、と思ってしまうのです。

 

私は、アメリカなど、海外のジャズ・ミュージシャンの音楽を好んで聴きますが、日本のジャズ・ミュージシャンの音楽を聴くのも、割と好きなんです。その上で感じるのは、やはり海外のミュージシャンと、日本のミュージシャンは、奏でる音楽の「音」が違うな、ということなのです。

 

それは、日本の風土や文化、社会や言語、地形や気候など、日本を形作る様々な要素が、日本人の精神性に影響を及ぼしている証拠なのだと思います。同じ要素の影響を受けているミュージシャンの奏でる音楽は、同じ土地で育った聴き手には、自然と入ってくる音楽となるのでしょう。

 

確かに、私が海外のミュージシャンの音楽を聴くときは、その音楽の背景にある、自然や文化、社会などを想像しながら、音を聴くことが多いように感じます。日本とは違うそのバックグラウンドは、どのように構成され、形作られているのか。そのような想像力をもって音楽と接することは、ただ単に音楽理論的、音響的効果を超えた、大きな広がりをもって、私たちの耳から脳にまで届いていくものなのだと思います。

 

 

…とまあ、大きな話になりましたが、この小沼氏のような、日本人らしさを海外にまで発信できる人というのは、とても貴重な存在だと思うのです。小沼氏は、旅を生活の一部としている方のようで、小脇に抱えたギターで、もっともっと日本の良さを世界に広めていってほしい、と感じてしまうのであります。

 

私も趣味のギターを、彼に少しでも近づけるように、頑張っていきたいと思います!

 

 

Jazz 'n' Pop

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