アンクル・チャッキーの名盤紹介

私が名盤だと感じるCDアルバムを、次々と紹介していくブログです。読者様の心のどこかに引っ掛かって貰えれば、嬉しいです。

『ザ・ホワイト・ストライプス』

彼らは、ロックンロールを終わらせたのか。

はたまた、新たなロックンロールを創造したのか。

 

お久しぶりです。

ずっと放置していたブログを、またまた再開させようかと思います。

筆者の気分で進む、このブログ。

またいつ中断するかわかりませんが、なるべく続けていけるように、頑張ろうと思います。

ま、ブログなんて、このぐらいの温度感でもいいのかもしれませんけどね。(ブログを一生懸命書いている人たちに、とても失礼!!)

 

 

ところで、私の音楽についての興味の対象は、ジャズとロックが主なものとなります。もちろん、クラシックも、ヒップホップも、J-POPも好きなのですが、どぼっとのめり込むという感じには、なかなかならないのですね。いや、J-POPは3番目くらいに好きだと言えるかもしれませんが…。

 

とにかく、私はジャズとロックを主に聴くのですが、ジャズに関しては、まだまだ中級者といったところで、これからどんどん掘り下げていく余地が、多分にある分野だと思っているのです。そこが、まだまだ長く楽しめそうなところで、ジャズが気に入っている一つの理由となるのですが、反面、ロックに関しては、なーんとなく終わりが見えているというか、若い頃に聴き過ぎてしまって、どのロックを聴いても、目新しい感動というものが、無くなってきているように感じるのです。

 

ロックと言えば、ビートルズローリング・ストーンズのいた1960年代、レッド・ツェッペリンセックス・ピストルズのいた1970年代、U2ガンズアンドローゼズのいた1980年代、ニルヴァーナやオアシスのいた1990年代と、20世紀の後半を鮮やかに彩る、若者文化の一大センセーションだったわけです。

 

じゃあ、21世紀は???

 

ロックは、果たして、21世紀にも、そのメッセージ性が通用する音楽たり得るのでしょうか。

 

ここで登場。今回の主役、ザ・ホワイト・ストライプス。こいつらのシングル・デビューは、1998年。今回紹介するこのデビュー・アルバムの登場は、1999年である。20世紀も終わりの終わり、もうはなから21世紀に活躍することを目標として結成されたような、ロックバンドなのである。

 

で、こいつらが登場したときに掲げられた、スローガンというか、キャッチフレーズが、「ロックンロール・リヴァイヴァル」というものであった。同時期にデビューした、ストロークスなどと同様に、ロックの初期衝動を音にしたようなその音は、ビートルズはおろか、1950年代のチャック・ベリーエルヴィス・プレスリーといった、ロックンロール創始者らを彷彿とさせる音楽であったのだ。

 

しかし、その音を、21世紀に鳴らす必要性は、本当にあったのであろうか。彼らの奏でた音楽は、ロックの未来にとって、本当に輝かしいものであったのだろうか。

 

 

温故知新という言葉がある。故きを温ねて新しきを知る。新しさだけを追い求めて、中身がスカスカなものを作るより、古く時代に洗われたものを深く研究し、その中から今の時代に通用する、フレッシュなものを産み出す、といったような意味だが、彼らの音楽を聴いていると、この四文字熟語が、頭に現れて仕方がないのである。

 

いつの時代も、ロックは、目新しさを求めて、発展してきた。

サイケデリック・ロックハード・ロックパンク・ロックオルタナティブ・ロックと、それらのロックは、驚きとともに、新しい時代を象徴する音楽となってきたのだった。しかし、21世紀という新しい時代に現れたロックは何だったかというと、「リヴァイヴァル」、である。日本語では、焼き直し、とでも言えようか。

 

確かに、解る。楽器が電気楽器になり、コンピュータが登場し、音楽をどんどん刷新していかなければならなくなった息苦しさ。その中にポンと現れた、「もっと昔に戻ろうよ。」という精神。

 

わかる。わかる、が、本当にそれで良かったのか。それしか、無かったのか。その答えは、2000年代、2010年代のロック音楽を見れば、明らかなのかもしれない。つまり、それしか、無かったのだ、ということ。ロックはこれ以上刷新できず、もう一度昔に戻って、同じことをやっていくしかないのだ、ということ。

 

ただ、そこにわずかだが希望があったのである。

 

それを証明してくれたのが、やはりこの「ロックンロール・リヴァイヴァル」の旗手たちだったのである。

 

つまり、過去の研究は、これからの時代、絶対に必要になってくる。そこに、現代の感性をプラスした、新しい作品を作り上げることが、これからのロックの未来そのものなのである。それは、歴史を踏まえて、新しい時代を生きていこうとする、人間の本来あるべき姿そのものだったのである。

 

すなわち、1990年代までは、ロックという音楽が、あまりに新しすぎた。過去を求めず、新しさのみを追求する初期衝動そのものが、ロックという音楽の本質であった。

 

しかし、21世紀に入って、初めてロックにおける視点が、過去に向けられたのである。それは、後退とか、そういうことではなく、成熟なのである。過去のロックの成功、失敗を、今はロックの歴史として、見ることができる。そうした土台の上に、成熟しつつも、本当に新しいロックを作り出すことが、可能となる時代が来たのである。

 

 

現代の音楽産業は、一つの転換点に居る。レコードに取って代わった、CDというメディアでさえも、一昔前のものとなってしまいそうな、アーティストにとって先行きの見えない、不安な時代に入っていると思う。今までの価値観が、通用しなくなってしまうような、時代の変革する感覚を、ここ何年かで感じ取っている人は多いだろう。

 

しかし、このようなときに最も役立つのは、過去の教えである。歴史が浅いと思われる音楽産業でさえも、過去の偉大なアーティストや音楽関係者たちによる、膨大な経験の蓄積が残っている。そこから学べば、きっとこの変革の時代も乗り越えて、新しい明るい時代を迎えることができるように、思う。

 

 

冒頭の疑問に対する、私の回答です。

 

ザ・ホワイト・ストライプスは、ロックンロールが死にそうな時代に、次の時代のロックを産み出し支えるための、新しい土台に、自らなったのだ。