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アンクル・チャッキーの名盤紹介

私が名盤だと感じるCDアルバムを、次々と紹介していくブログです。読者様の心のどこかに引っ掛かって貰えれば、嬉しいです。

ハービー・ハンコック『ヘッド・ハンターズ』

ついつい、ジャケ買いしてしまいそうな名盤 その①

 

 

ヘッド・ハンターズ

ヘッド・ハンターズ

 

 

 

ジャケ買い」。皆さんはしたことがあるでしょうか。「ジャケ買い」とは勿論、音楽の内容を知らないで、ジャケットのデザインだけを見て、そのCDを購入するという行為である。

 

「そんなリスクのあることしない」とか、「金がある人のすることだ」とか、色々意見はあるだろうが、これがなかなかに奥が深い。

 

「名は体を表す」と言うが、「ジャケットは音楽を表す」と、言い切れなくもないのである。

 

レコードの時代から、ジャケットデザインと音楽は、セットとして商品化されるようになった。レコードからCDへと媒体が切り替わり、ジャケットのサイズはいささか小さくはなってしまったが、やはり今の時代も、ジャケットと音楽は、不可分の存在として、販売されている。(そこに新しく登場した、ネット配信という方法が、どうやっても私が好きになれない理由の大部分は、勿論ここにある。)

 

ジャケットのデザインの最終決定権は、詳しくはないが、まあ当然そのミュージシャンにあるのだろうと思う。そこでミュージシャンが当然の如く考えるであろうことは、「自分の創り出した音楽のイメージが、そのまま反映されているジャケットがいい。」ということだろう。

 

つまり、想像力のある人がそのジャケットを見れば、何となく直観的にその内容の音楽が判る、という構図である。ま、当然と言えば、当然だが。

 

そこで、今回の、ハービー・ハンコック『ヘッド・ハンターズ』のジャケットを見て欲しい。このジャケットを見て、このアルバムが、ジャズのアルバムだと判断できる人は、どれだけいるだろうか。ましてや、発売当時の1973年には、果たしてどう思われたのだろうか。

 

このアルバムは、彼の代表作の一つであると同時に、フュージョンと言う音楽の代表作の1枚である。フュージョンとは、ジャズを基本に、ロックやファンクなど他ジャンルの音楽的要素を混ぜ合わせたような音楽である。やはりジャズ界の御大、マイルス・デイヴィスあたりが、そういう実験作を作り始めたところから、そのような流れがジャズ界に産まれてくるのであるが、ハービー・ハンコックも、自身の音楽を発展させる手段として、ジャズ音楽に、ファンク、R&B、ソウルなどの要素を取り入れるようになる。ハービーがそのように舵を切り始めた頃の大ヒット作が、このアルバムであったのである。

 

このジャケットを見て、なんかこう、旧態依然としたものに、新しい風を取り入れようとする気概のようなものが、見て取れないだろうか。なんかこう、時代の最先端を行きました、みたいな、なんかこう、作り手の不敵な笑みのようなものが、感じられないだろうか。

 

私自身は、高校生の時、CDショップでこのアルバムと出会い、「これ、買う!」と思いはしたものの、自分の財布の中身と相談してしまい、後ろ髪惹かれつつもその場を去った、という苦い思い出があります。その頃は、ハービー・ハンコックの名前すら知らなかったので、その時購入していれば、私の人生における、ジャケ買い堂々の第1号となっていたのですがね。結局、購入したのは、30代にもなったつい最近のことなのでありました。

 

まあ、何にしても、このアルバムは、素晴らしいです。そして、ジャケットデザインが、見事にその音楽を言い表しています。こういういい音楽は、若い時に聴いておいて絶対損はないと思うので、「あの時購入していれば、また違った感慨を得られたのだろうな…。」と、少しばかり口惜しい気がするのも山々なのでありました。

 

ジャケ買い…。音楽リスナーにとって、こんなに胸躍らせるものも、なかなか無い、と思う。当たるも八卦当たらぬも八卦。でも、完全な運否天賦ではない、作り手のリスナーの、一種の駆け引きである。そして、自分の感覚を信じて、「当たった」ときのあの高揚感…。

 

是非、お金の無い、音楽経験の少ない若い人たちにこそ、味わってほしいギャンブルだと思うのですね。

 

 

 

…よくよく考えると、この「名盤紹介」は、読者のジャケ買いの楽しみを、少し奪ってるとも言える…。…そうとも…、言えるが…、私なんかに追い付かれない位、バンバンとジャケ買いを試してみて欲しいものです。その②も、その③も、やってしまいます!(終わり)