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アンクル・チャッキーの名盤紹介

私が名盤だと感じるCDアルバムを、次々と紹介していくブログです。読者様の心のどこかに引っ掛かって貰えれば、嬉しいです。

ホワイト・ストライプス『エレファント』

ついつい、ジャケ買いしてしまいそうな名盤 その③

 

 

エレファント

エレファント

 

 

 

さて、どこから語ろうか。

 

えーと、まず、このジャケットを見て欲しい。使われている色は、何色(なんしょく)?

 

そうです。赤、黒、白の3色のみである。まあ、これだけなら、そう珍しいことでもないのであるが、こいつら、もとい、この方たち、デビュー作から、解散に至るまで、約7枚のアルバムを出しているが、それら全てのアルバム・ジャケットが、この3色のみで構成されているのである。この徹底ぶり、というか、アート作品としての、こだわりなんでしょうね。

 

そのどれもが、一つのアート作品として成立するぐらいの、クオリティの高さなのであるが、その中でもこの4作目、『エレファント』のジャケットは、群を抜いている。

 

グラフィック・デザインとか、まあ普通の手書きのデザインとかではなく、写真で、しかも、演奏者本人たちの写る写真で、こうもアーティスティックに1枚の画(え)を仕上げるという力技。まさに、彼らは、自分たちも含めた、全体として統一感のあるアートを作り出そうとしていることが、分かる。

 

そのことを顕す一つのエピソードとして、こいつら、もとい、この方たちが世に出てきた当初は、2人の関係が曖昧、というか謎だった。本人たちは、姉弟関係にあると言っていたが、実は、恋人同士、果ては元夫婦という説まで持ち上がった。で、実際どうだったのか、というと、果ての、元夫婦というのが、実際らしい。が、本人たちは、姉弟というのを、アーティストとしては、通していた。

 

ここら辺の、リスナーを煙に巻く感じ、自分たちの関係まで、アートとして組み込むその心意気。完全に、アイドルではなく、アーティストなのである。

 

 

さて、この2人、ジャック・ホワイト、メグ・ホワイトという名前なのだが、ジャックの方は、若い頃、家具職人として働いていた、という変わった経歴の持ち主である。ちなみに、彼らのセカンド・アルバムのタイトルとなった「デ・ステイル」とは、20世紀前半にオランダで始まった、カラフルな原色と幾何学的造形を用いる、建築、彫刻などの芸術界における一つの様式である。この辺も、そういう彼の生い立ちが、そのままホワイト・ストライプスというバンドのあり方に影響を与えている、と言っていいだろう。

 

 

このバンドの音楽的な面が後回しになってしまったが、簡単に言えば、ブルースを母体にして、21世紀の新しいロックのあり方を提示した、と言ったところか。印象としては、ストーンズとか、ツェッペリンとかの流れを汲んだ、王道ロックの風格を漂わせているが、重厚さだとか、様式美のようなゴテゴテしたものはあまり無く、あくまで印象は、カジュアル。パンキッシュな軽い感じも含んでいる。

 

2人だけのバンドなので、楽器はギター(ジャック)、ドラム(メグ)のみの編成。その割に、隙の無い、説得力のある演奏。もう、抜群のセンスなんでしょうね。ジャックのボーカルも、かなり個性的で、高音域の、声がひっくり返る感じまでカッコよく聴かせてしまう、強者である。

 

彼らの音楽を語る上で、そのユーモア感覚というのも、見過ごせない一面である。真剣に演奏していることに変わりはないのだが、その中に滲み出るユーモア、というか、やっぱり結局はセンスなんでしょうね。聴いている人を嫌な気にさせない、遊び心のようなものが、多分に含まれているのです。

 

 

もう、こいつら、もとい、この方たちは、グラミーも次々獲得して、21世紀のアメリカを代表するロック・バンドにもなってしまったわけだが、私が、最初に彼らに惹かれ始めたきっかけは、やはりこの『エレファント』のジャケットからであった。なんかこう、ストーリーを想像させる2人の佇まい。なぜ、女の子は泣いているのか。その横で、男はなぜ、電球を見つめているのか。2人の関係は一体?と、まさしく先ほど述べたような、見てる人を煙に巻くような、謎がありありと顕れていたわけです。いやあ、最初このジャケットを見たときは、色々とこの人たちの音楽がどんなものか、想像しながら期待を膨らませたもんですね。

 

 

 

ということで、3回続いた「ジャケ買い」シリーズも、とりあえず今回でおしまいにします。「良いジャケット≒良い音楽」という式は、ほぼ85%以上成立すると思っています。この世には、アルバムの数だけ、ジャケット・デザインがあるわけで、その中で、自分が聴きたい音楽を、CDショップでジャケットだけを見て手に入れる、というのは、かなり度胸のいることだとは思うのですが、この情報過多の時代、簡単に音楽に関する様々な情報を手に入れることのできる環境にある現在だからこそ、シンプルに、ジャケットというものだけを通して、作り手とリスナーの対話がもっと生まれていけば、それは面白いことだな、と思う私でありました。