アンクル・チャッキーの名盤紹介

私が名盤だと感じるCDアルバムを、次々と紹介していくブログです。読者様の心のどこかに引っ掛かって貰えれば、嬉しいです。

デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』

名盤中の名盤である。誰が何と言おうと、名盤である。

 

ロックの見本のような、完全無欠のアルバムだと思うのである。何がそんなに凄いのか。

 

まず、ポップである。ロックが急激に肥大化していった1970年代。その象徴が、レッド・ツェッペリンプログレッシブ・ロックなどの、やや難解な複雑な構成のロックである。これらの流れは、60年代からロックに入れ込んでいた人たちにとってみれば、確実な成長だったかもしれない。では、70年代からロックに入り込んだ人たちは、どこから入ればよかったのか。その答えが、このアルバムである。

 

デヴィッド・ボウイ。言い方が変かもしれないが、幅広いロック界の中でも稀なほど、ロックを体現している人だと思う。ファッショナブルな衣装と、端正な顔立ち。ヴィジュアル的にも、抜群であった。この人の場合、女性のファンも実に多いのではないだろうか。

 

後のボウイは、少しずつ声が低くなっていく。元々魅力的な低音ヴォイスの持ち主で、そこも彼の一つの持ち味ではあるのだが、この『ジギー・スターダスト』の頃の振り絞るような高音ヴォイスは、男の私でもドキドキしてしまうほどの、セクシーさが溢れている。

 

そして、このアルバムで特に顕著な、非現実感。曲のタイトルを見れば、そのことがよくわかる。「月世界の白昼夢」、「屈折する星くず」等。アメリカのアポロ計画で、宇宙への関心が特に強まっていた時期なだけに、そのような時代の雰囲気というのも詰め込まれているのだろう。

 

そして、最終曲「ロックン・ロールの自殺者」。この曲が最後に収められたことで、このアルバムの価値は決まった。完璧なレクイエム。ロックの美味しいところを全部詰め込んだ、もう抗いようのないロックの名曲中の名曲である。

 

この『ジギー・スターダスト』のような名盤の場合、語るべき点が多すぎて、紹介文がどうしても散漫な感じになってしまう。このアルバムのカッコ良さ、完成度、そして歴史的意義は、もう言葉の範疇を超えているのである。本当は、こうやって語ること自体が、申し訳ないぐらいなのである。とにかく、一家に一枚、常に手元に置いておいて、ことあるごとに聴いてほしい1枚なのである。ちなみに私は、『ジギー・スターダスト』を3枚持っています。好き過ぎて。その中の1枚、『ジギー・スターダスト 30thアニヴァーサリー・エディション』は、ぜひ手に入れて欲しいところです。CD 2 には、本編の収録曲の別ヴァージョン、デモ・ヴァージョン、そして未収録曲が収められています。どれも聴く価値のある曲ですが、特に未収録曲が興味深い。『ジギー・スターダスト』の世界観が、もっと拡がって視えてくるようです。

 

 ボウイは、息の長いロック・ミュージシャンである。出したアルバムの数も、非常に多い。『アラジン・セイン』も聴いて欲しいし、『ステイション・トゥ・ステイション』も聴いて欲しいし、『ロウ』も『ヒーローズ』も聴いて欲しい。でも、まずは『ジギー・スターダスト』。これしかないでしょう。

 

生まれながらにして、ロック・ミュージシャンになるしか無かった彼の、必然的に作り上げられるしか無かった、もう生まれるべくして生まれた奇跡の名盤。一聴するだけで捨てられてしまうような、そんな軽い音楽とは無縁の音楽であるということが、一つのポイントです。

 

 

ジギー・スターダスト発売30周年記念アニヴァーサリー・エディション

ジギー・スターダスト発売30周年記念アニヴァーサリー・エディション