アンクル・チャッキーの名盤紹介

私が名盤だと感じるCDアルバムを、次々と紹介していくブログです。読者様の心のどこかに引っ掛かって貰えれば、嬉しいです。

ビル・ウィーラン『リヴァーダンス―ケルティック・ハートビート・コレクション―』

今回は、とっておきの一枚を。

 

いまや、世界的な知名度を持つミュージカル、『リヴァーダンス』。ニューヨークのブロードウェイでも演じられる作品である。アイルランド伝統の音楽を、ダンスミュージックにした、躍動感溢れる音楽である。

 

私は、アイルランドの伝統音楽、ケルト・ミュージックは、日本人ととても相性がいいのではないか、と思っている。フィドル(ヴァイオリンのこと)やギター、アイリッシュ・フルート等で演奏される音楽は、郷愁を感じさせ、どこか物悲しげであるが、毎日を必死に生きていくための力を与えてくれるように感じる。

 

アイルランド出身で日本人が知っているミュージシャンと言えば、U2やエンヤ、あとちょっと渋いところで、ヴァン・モリスン等がいるが、そういう感触の音楽だと言えば、聞こえはいいだろうか。妖精やドラゴン、ウイスキーやジャガイモの国である。…どう説明したらいいか…。

 

とにかく、この『リヴァーダンス』。実は、我々日本人も、よく耳にしている音楽なのである。その音楽が流れる場所とは…。スケートリンク。そう、今や日本で一番人気のあるスポーツ、フィギュアスケートのBGMとして、実に多用されているのである。「あ、また流れた。」「あ、またリバーダンスだ。」こんな感じである。リヴァーダンス大ファンの私としては、とても嬉しい現象なのであるが、この作品ほど、庶民的でありながらクラシック的な崇高さも感じさせる音楽というものが、実はあんまり存在しないのではないか。この作品が多用される理由の一つに、そういう面が挙げられると思う。

 

先に、この音楽はダンスミュージックだと書いたが、この演目のダンスがどのようなものか、ご存じだろうか。ただ、跳び跳ねるだけである。直立不動で、足だけ動かして、大勢でぴょんぴょん跳ねる。一度その舞台を観てみたいのだが、十数年その思いを抱き続けて、未見である。恐らく、今はダンスにももっといろんな動きがあるのだろうが、もともとは、1994年のユーロヴィジョン・コンテスト(あのABBAが優勝した歴史あるTV番組である)の、休憩時間に演じられたアトラクションが基になっている。その音楽がシングル・カットされ、アイルランド・チャートのトップに18週間に居座り続けた、という誕生の歴史を持った音楽なのである。

 

ところで、このCD。発売は1995年なのだが、最も早く出た『リヴァーダンス』のCDだと認識している。実は私、これ以降に発売された(ブロードウェイで人気が出た後に発売された)『リヴァーダンス』のCDも聴いたことがあるのだが、断然こっちである。以降のものは、かなり散漫な印象を受けた。全体としての統一感は、断然このCD。ビル・ウィーランの原初的なイメージが、そのままパッケージされている作品だと言っていいだろう。

 

名曲多し。全体の構成、よし。一連の流れもよし。

 

うだるような真夏の夜に、涼やかなこの音楽を流して、心も体もリフレッシュ。目を閉じれば、妖精たちが歌い、飛び跳ねること、間違いなし。

 

 

 

リヴァーダンス

リヴァーダンス