アンクル・チャッキーの名盤紹介

私が名盤だと感じるCDアルバムを、次々と紹介していくブログです。読者様の心のどこかに引っ掛かって貰えれば、嬉しいです。

ビリー・ジョエル『ストレンジャー』

今回は、洋楽の王道中の王道、ビリー・ジョエル『ストレンジャー』を紹介します。

 

ビリー・ジョエルは、日本で実に人気が高い。分かりやすい、ひねくれの無い、実にストレートなポップ・ミュージックだということが、日本人に受け入れられ易いのだろう。

 

私が中学生の時、一番嵌ったのが、このビリー・ジョエルであった。そして、最初に聴いた彼の作品が、この『ストレンジャー』であった。

 

音楽というものに、まだまともに接していない中学生でも分かる、その親しみ易いメロディー。その分かり易さから、自分が音楽聴きだという矜持の芽生え始めた高校時代、音楽というものにどっぷり浸かっていた大学生の時などは、ほとんど彼の音楽を聴かなかった。というか、敢えて避けていたように思う。

 

しかし、彼の音楽は、そんなに甘いものではなかった、ということに気付いたのは、最近のことである。子供が聴いても大人が聴いても楽しめる、ポップ・ミュージックとしての強靭さ。そういうものが、彼の音楽にはあると思う。実際、私も20代も終わりになって、このアルバムを食い入るように聴いた時期があった。私の場合、食い入るように聴くというのは大体、ライナーノーツだとか歌詞だとかを、じっくり読んだりすることなのだが、彼の音楽、歌詞がまず凄かった。その時は確か、この盤を聴きながら、歌詞を全部見ていったと思う。その時の自分は、何か言葉を求めていた。自分を慰めてくれる、勇気づけてくれる言葉がほしかった。そしてこの盤には、そんな言葉が溢れていた。彼は、詩人なのである。

 

そして、「素顔のままで」。この曲は、グラミー賞も受賞した楽曲だが、1曲目から終曲まで、全部が名曲のこの『ストレンジャー』というアルバムにおいても、やはり最も名曲だと言える1曲だろう。この曲で流れる、間奏における感動的なサックス・ソロを吹いているのは、アルト・サックス奏者のフィル・ウッズである。彼は、ジャズの人間である。このアルバムが発表されたのは、1977年。ジャズの世界では、フュージョンの全盛期。ロック・ポップスと、ジャズが頻繁にクロスオーヴァーしていた時代である。それにしても、この演奏は本当にいい。フィルの腕ももちろんだが、この曲にピタリと嵌まる音を探し出してきた、ビリーの手腕もやはり特筆すべきものだ。

 

…とにかく、子供がちょっと聴いて、最終判断を下せるような、そんな甘い音楽ではなかったのだ。ただ、そういう甘さを聴き手に感じさせるというか、スノッブを感じさせずに、あくまでストレートなポップ・ミュージックであり続けることの凄さが、彼の音楽には溢れていると思うのです。まあ、そういう凄さは、彼のヒット曲の多さに、如実に表れていると思います。本当に名曲が多いんですよね、彼。ちょっと挙げれば、「ピアノ・マン」、「オネスティ」、「アップタウン・ガール」等。彼のヒット曲の、極極一部です。

 

う~ん、凄いぞ、ビリー・ジョエル!自分の音楽ライフの初期にあなたに出会えたことは、私にとって本当にラッキーなことだった!と思うのでありました。

 

 

 

ストレンジャー

ストレンジャー