アンクル・チャッキーの名盤紹介

私が名盤だと感じるCDアルバムを、次々と紹介していくブログです。読者様の心のどこかに引っ掛かって貰えれば、嬉しいです。

ジェイソン・ムラーズ『ウェイティング・フォー・マイ・ロケット・トゥ・カム』

書きます。

 

最近やたら気になるミュージシャン(バンド)その②。

 

今回取り上げるのは、ジェイソン・ムラーズである。

 

本当は、その①からの流れで、日本のあるバンド(今度は男バンド)を取り上げようと思っていたのだが、最近出たニューアルバムを聴いて、がっくりしてしまったので、急遽路線変更。海外の方に目を向けてみたわけです。

 

と言っても、このジェイソン・ムラーズという男、デビューから既に10年以上経っているわけで、「最近のミュージシャン」という括りにしていいものか迷ったが、21世紀以降の音楽」は、10年以上経っていようが、自分の中では「最近の音楽」という範疇に入ってしまうのであって、まあ今でも現役だしいいか、……ということで、彼のメジャー・デビュー盤を紹介することにする。

 

彼の音楽を聴いて、大半の人が感じるであろうことは、「ジャック・ジョンソンみたいだ」ということだろう。ジャック・ジョンソンと言えば、このテクノロジーの時代に、アコースティック・ギターと彼の歌声のみで、まあ言ってみれば逆転の発想で、極シンプルな音楽を奏で、人気を集めたミュージシャンである。

 

私も、ジャック・ジョンソンは、一通り聴いた。私自身も、アコースティック・ギターをかじった人間であるので、 こういうスタイルは、ある意味新鮮だったし、興味深く聴いてはいたのだが…。少し…、パンチが足りな過ぎたというか…。決して悪くは無いのだが、パンチが弱過ぎて眠くなるというか…。嫌いにはならないのだが、もうちょっとこう…、という感じだったのだ。

 

そこで、最近出会った、このジェイソン・ムラーズ。私も、「この人は、ジャック・ジョンソンと同じことをしているな」と思った。ただ、物凄く耳触りがいい。そして、ちゃんとパンチがある。ジャックの方は、ロックとは別の次元で成立していた気がするが、ジェイソンの方は、ちゃんとロックしている。

 

ジャック・ジョンソンを知ってる人は、G・ラヴというミュージシャンも聴いたことがあると思うのだが、それにも似ている。というか、このジェイソン・ムラーズという男、ジャック・ジョンソンとG・ラヴを足して2で割ったような男である。しかもそのいいとこ取りをしている。…と言うと、没個性的な感じを受けるが、この音楽は、ちゃんと一つの個性として、成立している。…きっと、真似ではないのだろう。スタイルの面では、拝借したものもあるのだろうが、肝心の音楽では、ちゃんと自分の音楽性というものを発揮している。

 

まあ、具体的にどこがどう、とか語れるわけではないのだが、私がこの人が凄いと思うところ、好きだと思えるところは、この人の音楽を聴いてると、自分の部屋にあるアコースティック・ギターが弾きたくなる、というところである。アコースティック・ギターの良さを、存分に味わえる好盤、と言ったところであろうか。

 

…ところで、音楽好きな人は、楽器を持っている人も多いだろうが、音楽を鑑賞する上で、自分が楽器をある程度弾けるというのは、楽器を一つも持っていない、というのに比べて、音楽の聞こえ方が10と100程も違うと思うのだが、どうだろう。私の場合、楽器の経験があることで、音楽を聴いていると、その演奏者の演奏している姿が、脳裏に浮かぶのである。多分、どのような弾き方で、どういう心構えで弾くか、というようなことを知っているから、そういう姿をイメージしやすいのだと思う。つまり、耳から入ってくる情報だけではなく、(脳の中の)視覚的な情報も受け取りながら観賞する、ということで、1枚のCDからより多くのことを感じ取れる気がするのである。

 

私は楽器屋の回し者ではありませんが、音楽は「聴く」ものだと思っている人も、自分の手で音楽を奏でる喜びを知ると、楽しい音楽ライフは何十倍にも広がると思いますよ。