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アンクル・チャッキーの名盤紹介

私が名盤だと感じるCDアルバムを、次々と紹介していくブログです。読者様の心のどこかに引っ掛かって貰えれば、嬉しいです。

ジェイムス・テイラー『ゴリラ』

この世で「普通」でいることの難しさ。

 

このジェイムス・テイラーという男、音楽人としてはそうなのかは分からないが、人間としては、とても理想的な生き方をしてるように思えて仕方ない。

 

その風貌、歌声から、良心的な人柄が手に取るように判る男である。この男、若い頃は結構苦労したそうなのだが、現在の晩年の姿は、とても幸せそうに見えるのである。最近も、盟友のキャロル・キングと共演したほんわかCDが世界中で売れてしまうという、まあ何とも羨ましい男なのである。

 

男、男と連呼してしまったが(笑)、自分、歳を取っても威勢が良かったり、チョイ悪おやじなんて呼ばれているような人たちを観る時よりも、物腰の柔らかな、このジェイムス・テイラーのような人を観る時の方が、より男を感じてしまうのである。

 

で、物腰が柔らかいのと、人に頭を下げるというのも、また違うと思うのです。今はまたちょっと違ってきてるとも思うが、典型的な日本人の姿として、やたらと周囲にへこへこしてる人が、よく挙げられる。いいか悪いかは別として、まあそういう風にしてた方が、楽に生きられるのだということは、今ではなんとなく解る。でも、決めるべき時に決められるように、日ごろから静かな自信というものは、保っていきたいものである。

 

そこでこの、『ゴリラ』。私が初めて聴いたジェイムス・テイラーのアルバムなのだが、もう一聴してファンになってしまった。ラッキーだったのは、このアルバム、他のジェイムスのアルバムと比べても、かなり名盤度の高いアルバムだったのである。とてもシンプルな楽曲ばかりなのだが、ここかしこに耳を持っていかれるフレーズが溢れている。派手な曲調で耳を奪うのは、簡単だ。でも、地味な曲調で、こんなに聞き流せない音楽というものに、私はあまり触れたことが無かったので、まあ最初は結構な衝撃だった。

 

このジェイムス・テイラーという男、街を歩いてても、単なる一般人の一人にしか見えないのではないか。ミック・ジャガーとかロバート・プラントとかが街を歩いている時の状況の想像と比較してみると、その差は一目瞭然ですね。まず、寄って来る女の子の数が全然違うでしょうね。(今でもそうなるのかはちょっと疑問ですが。)私としては、そういうジェイムス・テイラーのような身のこなしの方が、カッコよく思えたりもしてしまうのであります。

 

思うに、こういう穏やかさは、荒れ狂う津波のような時期を過ごした彼だからこそ、出せる味だと思うんですね。更に言えば、そういう時期を過ごしたのに、そういうこと感じさせないところもまた、彼の凄味だと思うのです。

 

実は私、ワーナー時代の彼の音楽しか聴いたことが無いのです。言うなれば、青年時代の彼の音楽しか聴いたことが無かったわけです。1977年(この時ジェイムス29歳)以降のコロムビアの作品にも、そろそろ手を出してみようかな、とかちょっと思ってます。大人になったジェイムスの音楽が、どう変わっているのか、はたまたどこも変わっていないのか。期待と楽しみは尽きないのでありました。