バングルス『グレイテスト・ヒッツ』
80年代最大の女性ロック・グループである。かのプリンセス・プリンセスは、バングルスをお手本にしたとか、しないとか。
オリジナル・アルバムを聴いて行くのもいいとは思うが、彼女たちの場合、やっぱりこのベスト盤でしょ。なんたって、「マニック・マンデー」、「エジプシャン」、「胸いっぱいの愛」、「冬の散歩道」(オリジナル・アルバム未収録)といった、全米第1位、第2位の曲達を、一気に聴けるのだからね。曲順の構成もいいし。シングルのB面だった曲とかも、いい味出してるし。
筆者は中学生の頃、「胸いっぱいの愛」にいたく感動して、この曲を何度も何度もリピートして聴いたのであった。無駄がなくて、とても完成度の高い曲だなあ、と思ったりしたのでありました。TOKIOの長瀬智也がカヴァーしたくなるのも納得、の出来でございます。
他の凡百のポップ・グループと、何が違うんだろうなあ、と考えてしまう程、飽きない、ブレない、でも普通。それもその筈。メイン・ヴォーカルのスザンナ・ホフスは、名門カリフォルニア大学バークレー校を卒業、両親は医者と映画監督である。土台が違うのである。やはり普通さ、というか普遍性というものは、しっかりとしたバックグラウンドの上に構築されるものなのだな、と唸らせられる。
ロックやジャズばっかり聴いてる筆者にとっては、このバンドは非常に耳休めになるのである。女性ジャズヴォーカルと言ったら、ハスキーヴォイスが売りみたいなところがあるし、ロックの女性ヴォーカルと言ったら、ジャニス・ジョプリンとかパティ・スミスとかでしょ。ほら、ドスが利いてるでしょ。まあ、そういった見方はちょっと偏りがあるかもしれないが、とにかく、彼女達は、ロックという男性社会に自然体で乗り込んで来て、とても爽やかな風を残していった、非常にチャーミングな女の子たちであったと思うのである。