アンクル・チャッキーの名盤紹介

私が名盤だと感じるCDアルバムを、次々と紹介していくブログです。読者様の心のどこかに引っ掛かって貰えれば、嬉しいです。

レッド・ツェッペリン『フィジカル・グラフィティ』

化け物アルバムである。

 

化け物バンドが作った、情報量過多の2枚組アルバムである。私はまだ、このアルバムの全てを語るキャパシティなど持ち合わせていない。庶民的感覚で、このアルバムを語ろうと思う。

 

まず一聴して思うことは、「聴きにくいアルバムだ」ということである。彼らの代表曲の一つである「カシミール」や、ジミー・ペイジアコースティック・ギターが実に美しいインスト曲「ブロン・イ・アー」などは、割と聴きやすい部類に入る曲だと思うが、アルバムの冒頭から、「カスタード・パイ」、「流浪の民」、「死にかけて」、と続くんだから、やってられない。「死にかけて」など、11分間も続くんだから、やってられない。

 

レッド・ツェッペリンは、実に乗りにくいロック・バンドである。ロックン・ロールは、ダンス音楽として始まった。「勢い」と「若さ」と「乗り」。そんな感じだと思う。

 

レッド・ツェッペリンはと言うと…。「勢い」、…ある。「若さ」、…ある。セクシーだし…。「乗り」、…乗りにくいと言ったばかりだが、ある。ただ、ダンス音楽ではない。どちらかと言えば、体ではなく、頭の中で踊る音楽だと言えるかもしれない。

 

ただし、頭の中で音楽が踊りだすまでには、忍耐が必要かもしれない。畏まって聴く必要はないが、非常に敷居の高い音楽である。ロックの癖に。こいつら、考え過ぎなんじゃないの?

 

と言いつつ、何度も聴いてしまう中毒性がある。なかなか入り込めない代わりに、一度入り込んでしまうと、なかなか抜け出せないのである。「カシミール」など、一度取り憑かれたら、ゾッとしてしまう程の神秘性を秘めている。

 

とにかく深いアルバムである。ちょっと緊張して聴く位が丁度いいかもしれない。かの天才、ジェフ・バックリィは、叔父に貰って初めて聴いたロック・アルバムが、これだったらしい。いや、いいんだけど、もうちょっとさあ、と言いたくなるエピソードである。

 

まあ何のかんの言って、ロックの神髄を体現しているアルバムかもしれないので、ロック好きを自称している人にとっては、避けては通れない道でしょう。

 

 

フィジカル・グラフィティ

フィジカル・グラフィティ